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恋してキスして抱きしめて

第17章 積乱雲と、スコール

「……ユ、ユーリさん……」

「…………」

「朱莉さんの、足が………」



あたしのバッグと、食材の袋と、空のペットボトル


それらが散らばった先に、水浸しになった彼女の赤い足。


そんな異様な光景でも、ユーリさんは恐ろしく落ち着いている。



「………どういうつもり?」



大学近くのカフェで見た時と同じ


別人のような、怖い顔。



「なんでここにいるわけ?」

「……ごめんなさい……」

「ごめんじゃなくて、理由を聞いてるんだけど」

「……っ ユーリさん……!」



あたしに向けられているわけではないけど


余りにも冷たい表情と言葉で、心臓がえぐられるように痛くなる。



「朱莉さん、酷い火傷なんです。
すぐに手当てしないと、跡が……」

「迎えにきてもらえよ」



あたしを片手で抱き寄せながら、ユーリさんは朱莉さんを見つめた。



「旦那、呼んで今すぐ帰って。

……もう、俺はお前となんの関係もねぇから」

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