恋してキスして抱きしめて
第17章 積乱雲と、スコール
朱莉さんの後ろから、低い声が聞こえてきて
……いつの間にかすぐ傍まで来ていた、ユーリさんの後ろには
薄黒い大きな雲が広がっていた。
「……ユーリ……」
あたしの前で、朱莉さんが振り返ってそう呟いたけど
ユーリさんは朱莉さんに目もくれずに、彼女の横を通り過ぎる。
「………立てるか?」
「…………!」
「掴まって」
ぺたんと道路に座りこんだままのあたしに、手を伸ばすと
ユーリさんは背中を支えて、ゆっくりと立ち上がらせてくれた。
「大丈夫?」
「…………」
「千夏」
「……あ! は、はい……」
状況の整理ができないままだけど、名前を呼ばれてなんとかそう答えると
あたしの頬を撫でて、ユーリさんはホッとしたように
少しだけ笑ってくれた。
「…………っ」
胸が、きゅうっと締めつけられる。
だけど………
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