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『好き』の重さ

第14章 赤い糸

「やぁ、早かったね」


扉の向こうには、何時になく爽やかな笑顔の芝田さんが待っていた


「こんにちは…」


夕方だと言うのにその言葉を言うのが精一杯で、思わず顔を見合わせてクスッと笑った


曇り空のようだった私の心が、少しずつ明るくなるのをハッキリと感じていた


「「取り敢えずビール!!」」


席に着くなり同時に発した言葉に、二人でお腹を抱えて笑った


小さな個室の中が穏やかな優しい空間に変わっていた

心の何処かで、別れ話なのではないかと思っていた私には、そんな些細な事にも涙が出た


「笑い過ぎて涙が出たじゃない!」


そう言って誤魔化す私を彼は優しく見詰めていた



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