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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第4章 【残り菊~小紅と碧天~】 流星

 道理で、どこかで見た顔だったはずだ。本物の碧天を見たことはなくても、浮世絵になった彼の顔をあの時、さんざん見ているのだから。
「私の知り合いがあなたの浮世絵を宝物のように大切にしてたわよ。肌身離さず持ってるなんて言ってたし。凄い人気なんでしょ」
「まさか」
 栄佐は照れくさそうに頭をかいた。

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