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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第4章 【残り菊~小紅と碧天~】 流星

 迷惑です、と言って胸を反らした小紅は、おやと思った。神妙な顔をしているはずの栄佐が肩を震わせている。どうやら、笑いを必死で堪えているようだ。
 私、何か変なことを言ったかしら。
 小紅が首をひねっていると、栄佐の後ろから女が出てきた。緋色の肌襦袢をしどけなく纏い、帯は一応結んでいるものの、ゆるゆるで今にも解いて下さい―もとい、解けそうな結び方だ。

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