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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第27章 第二部・第六話【春咲く花】 逢瀬

 そう言われたものの、なかなかこれは勇気のある行為であった。栄佐を見ていると、まるで猿が木から下りるように自然な身のこなしでやっているようだけれど、かなりの高さのある二階から、いかに頑丈とはいえ、紐一本を頼りに降りるのには勇気が要る。
 小紅がなかなか言われたとおりにしないので、先に下に降りた栄佐はやきもきしているのが判った。

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