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闇の王と光の騎士

第9章 暴君王のスピーチ

「お姉ちゃん……」

その霧里の裾を引っ張る少女がいた。

見下ろすと年端のいかない少女だ。

殺戮兵器として育てられた霧里だが、心の奥には年頃の女の子の優しさも残っている。

「どうしたの? 迷子?」

少女の目線に合わせるように屈んで、その頭を撫でる。

「ううん。違う。お姉ちゃん王立軍の人でしょ? 私、この人を探してるの……」

少女は手書きの似顔絵を差し出す。
幼い少女が書いたとは思えないほど、写実的な絵を見せられて霧里は驚く。

「この人は? お父さん?」

どこかで見た気もするが思い出せない。

「ううん。違うよ。この人はマギトを殺した仇だよ。王立軍の兵隊だからお姉ちゃん知ってるかなと思って」

(マギト……!?)

霧里は息を飲む。

マギトといえば凶悪テロを繰り返すテロリスト……

「私はアマテラスのメンバーなの」

「ッッ!!」

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