
とあるホストの裏事情・完
第33章 将悟の憂鬱
パートナー
一生に、一人の
「そーなんだ。そんなに将悟が好きなんだ」
「うん、好きって言うか、大好きって言うか、あいしてるー」
俺は、研斗が発する一つ一つの言葉に
胸を奪われ、心を打たれ、涙がこぼれそうになった。
「おれのこと捨てずに、今まで一緒でいてくれたから、」
研斗は紅潮した顔で、氷悠に言い聞かせるように語る。
「守ってくれたから、好きだよ」
「…ふーん、かっこいいな将悟」
「親父のことだって、一生懸命になってくれたし、」
親の愛情を、怒られたあとの優しさを知らない研斗だから、そういう感じ取り方をするんだ。
「何回も愛してるーって言ってくれるから、おれもちゃんと応えなきゃなーって」
俺の目を見てそう言ったとき、研斗の瞳は涙で濡れていた。
驚いたことに、俺まで。
「将悟…なんで泣いてんの」
「お前だっ、てなぁ…」
バカにするような言い方で、俺の涙を拭う研斗。
堪らなくなって抱き締めた。
「愛してるよ…」
「うん、おれもだよー…」
俺は心のどこかでとても安心していて
心のどこかで覚悟をした。
研斗と一緒に生きていく。
