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とあるホストの裏事情・完

第23章 大切なあいつは ー 将悟side ー

でっかい扉が重たい音を立てて開いた。
そこには、不適な笑みを浮かべた近藤が立っていた。
「どうも、将悟。お前んとこの犬、めっちゃ感度いいね。興奮した」
「犬じゃねーよこのクソ。 お前、今度研斗に手ぇ出したら安西のとこ持っていくから」
「・・・あーこわ。それだけは勘弁。どうぞお入りください」

近藤の弱点は、『安西』
今までバリタチだったコイツを初めて掘った男。
俺はお世話になりたくねー・・・。

「早く研斗のとこ連れてけ」
「待ってくださいよー。そっちじゃないですー」
「てか聞けよ将悟。 研斗くんさ、お前の車の音聞こえてきたら起きたんだけど。 めっちゃ細い声で、将悟、って言ってた」
「・・・・・・早く連れてけって言ってんだろーが!!」
「・・・・・・はーい」
「血圧上がるぞ、やめとけ」
あーもうどいつもこいつもふざけんな。
俺の車の音で反応した?
そんな可愛いことしてるんだったら尚更連れてけってんだよクソコンビ。

長い廊下を歩いて行くと、妙に存在感のある扉があった。
「・・・ここでーす」
「多分寝てるぞ。今のうちに連れて帰れー」
「・・・・・・また来るな。お前ら殴りに」

重たい扉を開けると、ど真ん中に白いベッドがあった。
そこに横たわっているのは、痩せた研斗。


「研斗・・・」
服を着ていない。
怒りが混み上がってきたが、それは後回しだ。
今は研斗を連れて帰る。ただそれだけ。
研斗にシーツを巻いて、足早にこの家を出た。呑気に手を振ってるクソコンビに、唾を飛ばしてやりたい気分。
アルパカみたいに。


車の方へ行くと、さっきのお堅い中年男性が荷物を積んでいた。
「あぁ・・・すみません。研斗様のお荷物を積ませていただいておりました。すぐにお送り致します」
「ありがとうございました。帰りは俺が運転するんで大丈夫です」
「そうですか・・・。では、お気を付けて」


俺が車で門を出るまで、その人をは深い礼をしていた。
そんなにすんなら研斗傷つけんなっつーの・・・

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