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BL~中編・長編集2~

第13章 ~天然男子の純愛~

「沖田君は、何部に入るの?」

「俺はジャズ部に入るつもり。」

話長引きそうだし…僕、先に行ってようかな?

そう思って、荷物を持って部活に行こうとしたら、一颯君に腕を掴まれた。

ぅえ!? な、なななに!? 僕に何かご用ですか!?

軽くパニックになりながら振り返ると、にっこり笑っている一颯君が。
だけど…

「ひっ…!!」

すっごい怖かった。
満面の笑み過ぎて…むしろ恐怖を感じるというか、背筋が凍る感じ?

「い、いい、いぶ、一颯君、ど、どどどどうしたの?」

「一緒に行こう。 ね?」

な、ななななんだろう、この恐怖は。 こ、断ったら…僕、どうなっちゃうんですか!?

「………は、はい…」

「わ、私も一緒に行きたい!!」

僕の腕を掴んでいない方の一颯君の腕を掴み、部活に行こうとする僕達の足を止めた高羽さん。

一颯君と一緒にいるために、必死なんだなぁ…クラスにいる、一颯君のファンの子達に睨まれても全く気にする様子のない高羽さんはすごい。
恋する女の子は無敵だね。

「もちろん。」

王子様って言われる理由がわかるくらいの眩しい笑顔で、高羽さんの言葉に頷いた一颯君。
女子には優しくしないと後々面倒だ。と、京ちゃんが言っていたのを思い出しながら、嬉しそうに飛び跳ねている高羽さんを眺める。

仕方ない…か。 ここで断ったら、一颯君のイメージが悪くなっちゃうし。
練習中なら、少しくらい話せる時間あるよね?

そう考えて、高羽さんを加えて三人で音楽室に向かったんだけど…

「……嘘…」

僕の考えが甘かった。


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