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BL~中編・長編集2~

第13章 ~天然男子の純愛~

「一颯く…」

「沖田君!!」

お昼休み。
高羽さんに話す前に、とりあえず一颯君に本当の気持ち伝えておこうと思って声をかけようとしたんだけど…

「どうしたの?」

「あのね…さっき、先生に私と沖田君でクラス委員やるって伝えておいたよ!! それと…はい、これ。 明日のクラス委員会議の内容だって!!」

そう言って、嬉しそうに一颯君に資料を渡す高羽さん。
一颯君は一瞬驚いた顔をした後、にっこり笑ってそれを受け取っていた。

「よろしくね!!」

「うん。 こちらこそ。」

楽しそうに、クラス委員について話し出した二人。
僕は、何も言えずにその光景を眺めていた。

「詩音!! 学食行こうぜ。」

「ぁ…う、うん。」

そんな僕を助けてくれたのは、やっぱり京ちゃんで…
僕は逃げるように、京ちゃんの元へ駆け寄った。

「京ちゃん…」

「ん?」

京ちゃんと一緒に教室を出たら、急に悲しくなっちゃって…

「ダメ…だった…」

でも…一颯君、楽しそうに笑ってたし…高羽さんと一緒にクラス委員やれることを、素直に喜んでるように見えた。

「そんな時もあるって。 でも、ちゃんと言おうとしたんだろ? 前の詩音だったら考えなれないことだし、成長できたってことでいいじゃん。」

「………うん。」

そう…だよね。
以前の僕なら、言おうともしなかっただろうし。 ちょっとは成長できたってことで、喜んでおこう。
最初から全部うまくいくわけないんだし。

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