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BL~中編・長編集2~

第13章 ~天然男子の純愛~

「なんとか言いなさいよ!!」

「っ!! あ、の…ごめんなさ…」

「だから!! 謝るくらいなら、最初から協力してあげてって言ってるでしょ!?」

友達の言葉に煽られてるのかなんなのか、高羽さんの泣き声はだんだん大きくなり…
嗚咽まで漏らし始めた。

あぁ…僕、女の子の泣き声って苦手なんだよね…

「っ…」

なんで…こんなこと言われないといけないんだろう。 僕は…ただ、一颯君と席が隣で、仲良くなりたかっただけなのに…
どうして、こんな…

「とにかく、次からはちゃんと…」

「なにしてんの?」

「「!!」」

低く冷たい声。
嫌な予感がして、振り返ると…

「い…ぶきく…」

ものすごい怖い顔をした一颯君が。
普段の姿からは、想像もできないくらい怖くて…

「あ、あの…」

「なにしてるのか聞いてるんだけど。」

こ、こわっ…怖いよ、一颯君!!
な、ななななんでそんなに怒って…

女子が固まって何も言えないのを見た一颯君は、僕の傍まで来ると、ポンポンと頭を撫でてくれた。

「大丈夫か?」

「…っ…」

もう半分泣き出しそうだった僕は、涙を…

「あれ? 沖田君、どうしてこんなところにいるの? 授業は?」

溢れさせそうになったけど、まさかの台詞に驚いて、泣くのも忘れてしまった。

え? い、今の声って、高羽さんだよね?
さ、さっきまで泣いてなかった?

「チャイム鳴っても教室に来ないから、捜しに…」

「そうなんだ!! 私達は、九重君の話を聞いてただけだよ?」

「は? 詩音の話?」

な、なんのことでしょうか…?
呼び出したのはそっちだし…しかも友達まで引き連れて。

っていうか、なんでもいいけど、ほんの数秒前まで泣いてたよね?
なんで、一瞬でそんな笑顔になれるの?

これには、友達二人も驚いている様子。
目を真ん丸くして高羽さんを見ている。

「そう。 やっぱり、クラス委員はできないから、代わってくれないか。って。 ね?」

「詩音、ほんとか?」

可愛らしく微笑んでいる高羽さん。
ただ…目つきだけはすごく怖くて、言われなくても、何を言わないといけないのかわかった。

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