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「再会」と呼べる「出会い」

第19章 廃墟と花嫁

「次朗君?」

私は次朗君を見た。
ハクアの記憶を消したのなら
エミの淫行に関する記憶も
消えたものだと思ったのに。

「今は二人の話を聞こう」


私は頷いた。


「前に進むためにも
 話をしてくれないか?
 二人が抱えていた事
 話せる範囲でいい」

隠土先生が二人に話しかけた。

「隠土先生」

「? 先生?」


そう言えば、
優司君は今年から入った
隠土先生のことを知らない。

「あーごめんな
 俺は今年から
 酉岡高校で教師をしてるんだ」

「へー…エプロンで?」

「受け持ちが家庭科なんだ」

「珍しい
 もしかして…」

優司君が疑いの目で
隠土先生を見る。

「あー…疑う気持ちは
 分かんなくもないが」

隠土先生は頭を抱えた。

「兄さんは怒らせると怖いよ
 さて… 話せって言われても
 何からだって感じかな
 取り敢えず
 二人の関係を教えてよ」

次朗君が優司君を
鋭い目で見つめながら言った。


「…私達は」

布団の上に正しく正座をし、
エミが先に口を開く。
申し訳無さそうに私を見つめて。


「幼なじみなの
 ごめんね!
 黙ってて…」

「あ じゃあもしかして
 前に話してくれた
 エミの好きな人って…」

「…」


エミが躊躇いながら頷いた。

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