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「再会」と呼べる「出会い」

第17章 溶ける体温

手を引かれ、エレベーターを降りる。

「 うそ… 」

タイムスリップしたの?
あの時の、あの部屋だ。


黒いカーテンは開いたままで、
窓の外には星空が広がっている。
黒ずんだ灰色の壁、
本棚には本がびっしり。

…そうか

日曜日に行った濁天の二階、
次朗君の部屋にあったのは
ここから持って行った本だったんだ。

だから見覚えがあると思ったんだ。


懐かしいよ…。



机の上には何かを書きかけた
羊皮紙が広げられている。
…カラスさんは官能小説を書いて
家計を支えてくれていた。

もしかして今も書いているのかな…。

私は次朗君を見た。



「あの時の
 本当にそのままだね
 梅子も粋な事をするなぁ」

「…」


懐かしそうに微笑む次朗君に
私の身体は温度を増した。

だってこの部屋は


「俺達が初めて身体を合わせた
 あの時の部屋そのまま
 …覚えてる?」



「   うん

 わ 私達
 タイムスリップしたの?」


  ドキドキドキドキ


やばい!
心臓が口から出そう…。

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