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「ミカ」

「…」

次朗君の指先が
私の頬を撫でる。
　
そんなに見ないで
また泣いちゃう。
私は視線を外す。


「少しだけ　いい？」




　　　　


「だーめっ
　下に家族いるから」


私は両腕を
顔の前で交差してガードした。


本当は次朗君が欲しくてたまらない。

そんなの
顔見られたら一発でバレる。


「そんな風に拒否られると
　悲しいんだけど」

次朗君が苦笑する。

「けどほんと　少しだけ」




グ　イ



引き寄せる力の強さに
抵抗なんて出来なくて…

私は次朗君の両腕に抱きしめられる。



「少しの間でいいから
　このまま　

　何もしないから」


かかる吐息に
鼓動が早くなる。


何もって　…


いけないと思いつつも
期待を裏切られたようで少し寂しい。




次朗君の腕はただ力強く私を包む。