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「君は失恋をして、綺麗になった」

第2章 「なごり雪」




『私ね、明日引っ越すの。
だから凛と会うのも…これが最後だよ』


お互いの白い吐息が宙に舞う。


かすかに揺れた真っ黒な瞳には
今は本でも、三上さんでもない…
私1人だけが映っていた。


『もう…分かったよね。
私がここに来た意味…分かったよね』


震える声に、どうか気づかないで。


たぶんすぐ本のストーリーに
埋め尽くされて消されるんだろうけど…


凛の中に残る私は

最後まで……笑顔であってほしいから。

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