
溺れる愛
第26章 選択肢は一つ
他の人は全員黒いスーツにサングラス。
高身長…。
たぶん、その筋の人なんだろうな…。
今更になって自分の置かれた状況を理解して
その途端、恐怖で指先が小刻みに震えた。
でも、悟られちゃいけない…!
「本当、あの子も詰めが甘いわよねぇ。
こんなに大事な弱味をその辺にほったらかしておくなんて」
大事な、弱味……?
「まぁ今日までは、あの田所が邪魔だったけれど。
私が黙って見過ごすとでも思ったのかしら?
馬鹿よねぇ」
言われてる意味がわからない…。
「まぁでも、まりあは良く働いてくれたわ。
あの子のお陰で、あなたの存在を知ることが出来たのだし。
私を裏切ろうとしたこともそれで大目に見てあげようかしらね」
まりあ…?
誰の事を…
それに裏切ろうとって…。
私が1人困惑していると、義母は口元に当てていた扇子を
私の目の前で優雅にしゃがんで
私の顎に差し込んでグイッと上を向かせた。
「ねぇあなた。私と取り引きしない?」
取り引き…?
