
溺れる愛
第26章 選択肢は一つ
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俺は控え室でその時を待っていた。
だけど、バタバタと外から足音が聞こえてきて
乱暴にドアが開けられたかと思うと
誠司が息を切らして
血相を変えて部屋に飛び込んできた。
「那津!すまない…!」
「おい、どうしたんだよ。そんなに慌てて」
「やられた…芽依ちゃんが…」
芽依の名前を聞いた瞬間
何かとてつもなく嫌な予感がして
俺は身を乗り出して先を促した。
「何…芽依がどうしたんだよ!」
誠司は悔しそうにグッと両の手を握りしめて
「どこにも居ないんだ…。ホテルの人間に話を聞いたらどうやら那津の義母の仕業のようだ」
「何!?」
「本当にすまない…俺がしっかり着いていたら…」
「今はそんな事はどうでもいい!
芽依を探すぞ!」
くそ…やられた…っ!
後少し…後少しだったのに…っ
芽依!
必ず助けてやる…!
