
溺れる愛
第17章 社会人編スタート
しばらく経ってから、静かに会議室の扉が開くと
そこには若い男性が顔を出した。
「お待たせしてしまって申し訳ありません」
『いえ、こちらこそ貴重なお時間を割いていただいてありがとうございます』
急いで私も立ち上がってペコペコと頭を下げると
その男性が目の前に来て、にこりと笑った。
なんか…綺麗な人だな。
女の子みたいな…私より可愛いんじゃないかな?
思わずその可愛らしい顔に見とれそうになりながらも
慌てて内ポケットから名刺を取り出して挨拶をした。
『初めまして。私、ふたばデザイン事務所の新井と申します。この度は当社にご依頼下さり、誠にありがとうございます』
深々と丁寧に名刺を渡すと、彼も同じ様に名刺をくれる。
「ご丁寧にありがとうございます。
私、wonder land専務の田所と申します」
名刺には【田所誠司(たどころせいじ)】と書かれており、自分とそれほど年が変わらなそうなのに
専務という肩書きに驚いてしまった。
すごくやり手なんだろうなぁ…。
これは生ぬるい事は言っていられない。
『ありがとうございます』
ありがたく受け取ると、田所さんはまたにこりと笑って
座るように促してくれた。
「では始めましょうか」
『はい!宜しくお願いします』
こうして、私の初となる大きな案件が幕を開けた。
