溺れる愛
第16章 冷雨
春休み中は、毎日毎日同じ事の繰り返しで
起きて食べてぐーたらして寝る。
たまに友達と遊んだりして
時間が経つのはあっという間だった。
もう那津の気持ちにも蓋をして封印しようとしていた。
心の傷が少しだけ塞がりかけていた春休みの最終日。
「芽依ー。あなたにお届け物だって」
相変わらず部屋でぐーたらしていた昼下がりに
母が小さな小包を持って部屋を訪れた。
『えー?何それ?』
「さぁ…芽依が頼んだんじゃないの?」
『私何も頼んでないよ』
そう言って、母から白い小さな小包を受け取る。
部屋に一人になって、その差出人の書かれていない小包を
何の気なしにガサガサと開けると、箱の中身を見て
芽依は言葉を失った。
『これ………那津の…?』
そこに入っていたのは、細長い箱と
那津が持っていたスマートフォン。
だが、機種が一緒なだけかもしれない。
そう思って、少し震える指先でスマホの電源を入れた。
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