溺れる愛
第2章 衝突
芽依は、遠くで見ているだけだからと自分に言い訳をして、先輩の練習姿を何枚も写メールに収めていた。
森山の見せた動画の中には、必死に先輩を撮影する芽依の姿がハッキリと映っていた。
『森山くんだって…盗撮じゃない…!』
「違う。これはれっきとした証拠」
(…痛い…)
芽依の手首を捕まえた手に、更にギュッと力が入る。
「俺だったら引くなー。知らないところで知らない奴が自分の写真何枚も撮ってるなんて」
ニヤリとしながら芽依の反応を見ている。
『……先輩に…言うの?』
怯えた表情でそう尋ねると、森山はまたククッと喉で笑ってから
「そんなにあっさり解放したら、つまんねーだろ?」
(どういう意味…?)
「黙っててやるかわりに、俺の言う事、聞けよ」
『…聞いたら、消してくれる?』
「俺が満足したらな。」
(何それ…!)
森山は芽依を捕まえていない方の手で、かけていたメガネを外して、真っ直ぐに芽依を見つめた。
胸がドキン…とした。
こんな状況なのに、格好良いと思ってしまうほど
オレンジ色に包まれた教室に、
彼の顔はよく映えていて…
その瞳に吸い込まれる様な感覚に襲われる。
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