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片想いの行方

第49章 償いの理由




「買ったものはダメだけど、体の事を考えて、手作りなら許してくれる。

会社が休みの土日は、自由にしてくれる。


昨日も、ドアの前で立って私を待っていたから。


………きっと、もうすぐ治ってくれると思うの。


あと少し。


それを信じて、続けるしか……」




話している途中で、ヒメがぎゅっと私の手を握ったから



それ以上話せなくなってしまった。





「美和」






ヒメは真っ直ぐに私を見つめる。









「……助けてって言えよ」




「…………っ」




ヒメの目は、さっきとは違って


怒りでも悲しみでもなく


ただ私を真剣に見据えている。





「一度、過去の全てを忘れて



今の正直な気持ちを言えよ。



………ここには今、俺しかいないから、誰にも聞こえない」


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