
片想いの行方
第49章 償いの理由
「……………!」
ヒメの体が、一瞬で固まったように見えた。
「……その事故の1年くらい前から。
ずっと一条さんに交際を迫られてたの。
立場上、無下に扱える人じゃないから、やんわりと断っていたんだけど。
2年前のあの日は……本当にしつこくて……
階段の踊り場で、壁に押し付けられて怖かったから、必死に押し除けた。
……そのまま立ち去って、しばらくしてから、後ろから音がして……
恐る恐る戻ったら、一条さんが右足を押さえて倒れてた」
あの時の光景が脳裏に浮かび上がる。
一瞬の出来事で混乱していたけど、すぐに救急車を呼んで、一緒に病院へ行って。
病院内の個室で、右足をギブスで覆った一条さんは、私にこう言い放った。
『俺がこんなになったのは君のせいだ。
俺が完治するまで
君にはしっかり責任を取ってもらうからな』
