
片想いの行方
第49章 償いの理由
ヒメの言葉に、また涙が零れてしまった。
……止めなきゃ。
また泣き虫って言われる。
「どうした? 俺なんか変なこと……」
「違うの………嬉しくて………」
“ 美味しい ”
その一言が、こんなに嬉しいことだったなんて。
自分の作った料理を食べて、こんなに笑顔になってくれることに
幸せで、胸がいっぱいで
止めようにも、あとからあとから溢れてきてしまう。
「美和………」
ヒメが立ちあがり、私の隣りに来て座る。
なんとか笑顔を作ろうとしたけど、無理だった。
「………ごめん、泣いたりして。
2年間一条さんに作ってきたけど、1度も美味しいって言葉は聞けてないから……
嬉しくて……」
「2年!?」
私の言葉を聞いて、ヒメの顔色が変わった。
