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片想いの行方

第49章 償いの理由



「……………!」



「美味すぎる。

お前、天才なんじゃねーの」




ヒメは箸を止めると、思い出すようにふっと笑った。




「俺の母親はさ。


一生懸命作ってるのは分かるんだけど、苦手らしくて毎回違う変なモノに仕上がるんだ。


そのDNAを引き継いだ姉貴も俺も、料理全般は全然ダメでさ。


だから、家庭の味ってのがどんなのだか知らないんだけど。



……このオムレツ食って、なんかこーいうのなんじゃないかって。



そんな気がするくらい、優しい味がする」



「…………っ」





ヒメは微笑みながら続けた。





「美和、ありがとう。



色んな所で色んなものを食ってきたけど


こんなに美味いものを食ったのは初めてだ。





…………美和?」

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