
片想いの行方
第47章 探り合い
隣りのビルに行くのかと思っていたけど
ヒメは左側にある、無機質な白い扉に手をかけた。
一見、非常階段への入り口か、関係者用の通路かと見受けられたけど
1歩足を踏み入れた先で
私は思わず立ち止まった。
「…………えっ………!?」
突然の、異空間への入り口。
間接照明が淡い光を放ち、黒を基調としたラグジュアリーな空間。
大きなバーカウンターの後ろにある、一面のガラス張りの外には
きらきらと輝く夜景が広がっていて。
その中央に、一際存在感を占めす東京タワーが光っていた。
「……すごい。 まさに隠れ家………」
BARの中央のスペースには、いくつかソファ席があって、ほぼ埋まっている。
その一番奥で、生のジャズ演奏が行われていた。
「美和」
ヒメに呼ばれて、ハッと我に返る。
「その食材の袋、この奥に置いとけ」
