
隠れて甘いkissをして
第74章 大切なひと
「……………///」
隼人は私の左手をとって、薬指のエンゲージリングにキスをした。
…………もう、心臓もたない………
1年前よりも、隼人の攻撃力は格段にパワーアップしている。
幸い細い路地には誰もいなくて。
私だけがハラハラしながら周りを気にしていた。
隼人は相変わらず平然としている。
……そこだけは前から変わってないなぁ……
「それより由宇。
スピーチの内容は完璧に覚えたの?」
「………あっ!」
隼人の言葉で我に返った私は、慌ててバッグから封筒を取り出した。
「もー!
さっきの衝撃で全部頭から抜けちゃったかも……」
「家であんなに何回も練習したのに?
もういいじゃん別に覚えなくたって。
マイクの前に立った時の、素直なお祝いの気持ちを言えばいいよ」
「…………」
……そりゃ隼人はペラペラ話せるだろうけどさ。
私はため息をついた。
