
隠れて甘いkissをして
第72章 旅立ち
………無情にも、別れの時間が近付いてきた。
「……じゃあ、そろそろ行きましょうか」
アンジーの言葉で、さっきまでの穏やかな空気に切なさが漂う。
周りの喧騒が、遠くの方で聞こえる気がした。
「シゲさん」
隼人が、一歩前に出る。
「俺の事、色々支えてくれてありがとう。
最初で最後の父親孝行が終わったら、帰ってからちゃんとシゲさんの介護をするからさ。
それまで、体に気をつけて元気でいてくれよな」
「……あぁ。
お前も気をつけるんだよ」
シゲさんは優しく微笑む。
その2人の姿は、本当の親子そのものだった。
