
隠れて甘いkissをして
第64章 内緒の準備
今年の12月24日は土曜日。
まだハロウィンだって始まらないうちから、その日は絶対に仕事を入れるなと隼人から脅されていた。
「あのねぇ…
愛に突っ走るあんたでも、この業界に何年もいるなら、イヴに休めない事くらいわかるでしょーよ。
だいたい普通の会社だってそんなワガママ通らないのよ?」
隼人はすでに降りるのを諦めたようで、ジングルベルを口ずさみながら、呑気に窓の外の景色を眺めている。
こ、こいつ…!
アタシはその自由奔放な態度に、ため息をついた。
「はぁ…しかもその願いを聞きいれて実現させちゃうアタシって…。
こんなに有能なのに、誰も褒めてくれないんだから、悲しくなるわ」
「由宇がすごく喜んでたよ」
隼人が嬉しそうに言う。
「まさか一緒にクリスマスを過ごせるなんて、夢にも思わなかったって。
アンジーは流石だって言ってた」
「……。
由宇に感謝されてもね…」
