
隠れて甘いkissをして
第61章 夢じゃないよね?
全身に力を入れすぎて、あたしは少し息が上がる。
「……まったく、お前は強いな」
先輩は優しく笑いながら、あたしの髪をくしゃっと触る。
「男として、少しは頼ってほしいんだけど。
お前の好きなものを用意して来たから、そこは褒めてほしいもんだな」
「………?」
先輩はカバンの横に転がった紙袋から、ひとつの箱を取り出した。
そして、あたしの前でその蓋を開ける。
「………っ」
もう、涙腺崩壊……
「あーあ、お前が突進してきたから崩れちゃったじゃん。
……この店の、好きなんだろ?」
先輩が笑いながら差し出した箱の中には
イチゴが散らばった、ひと切れのショートケーキが入っていた。
