
隠れて甘いkissをして
第54章 それぞれの道へ
「……アキくん……
アキくんは本当に優しいのね……」
「違うよ」
俺はふっと笑って続けた。
「俺は、本当は優しくも穏やかでもないんだ。
本当の俺は、理性がきかなくて、ガキっぽくて、すっげー我儘だよ。
ずっと、それを隠してかっこつけていただけだ。
……麻里奈の前では特にな」
「……アキくん……」
「………咲原と七瀬隼人を見て、気付いたんだよ。
誰かのせいにするとか、恨むとかじゃない。
お互いを尊重して、思いやりを持つことが何よりも大事なんだ。
素直になれば、結果自分が1番自分らしくいられる。
麻里奈も俺も、そんな風になれなかったから……
今はお互いに、自分をもう一度見つめ直すべきなんだと思う」
