
隠れて甘いkissをして
第54章 それぞれの道へ
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「………すみません」
突っ立ったまま泣いていた俺のすぐ横で
俺が落ちつくまで黙って側にいてくれたマネージャーは、二カッと笑った。
「あんたタバコ吸う?
この廊下まっすぐ行くと外に出れるのよ。
ま、こんな時間に本当はダメなんだけど、スポンサーのジジイがいるから特別ね」
「…………」
さっきの白ひげの男性の事だろうか。
よく見ると、この階は特別な個室しかないプライベートフロアのようだ。
マネージャーについて行き、1番奥の扉を抜けて屋上のようなスペースに出た。
心地よい秋の夜風が吹く。
そこには……
「………麻里奈……」
並んだベンチのひとつに、ぽつんと1人
うずくまった麻里奈の後ろ姿が見えた。
