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いつまでも、何年経っても切なくて

第20章 悲しい嘘のはじまり

響は自分の布団の左端に寄ってきて
私の右手を両手で包み込むように握っている


懐かしい手のぬくもり...


この感覚を
私が忘れるわけがない



無理矢理押さえ込んでいたものが溢れそうだ


達ちゃんのことを考えるとこの手は離さなくちゃいけないのに


離してって言えない


響は繋いでいる私の右手を
優しく撫で始めた


なんだか昔に戻ったような気がしてしまう



「莉子...」


『何...?』



「莉ぃー子ぉ」


『なぁーにぃ?』



「莉子莉子」


『何何?』



「フッ...」


響が笑ったから私も笑った

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