テキストサイズ

華のしずく~あなた色に染められて~

第23章 【夕桜~華のしずく~】其の弐~夕桜~

「そなた、幾つになる?」
 突然の問いかけに帰蝶は一瞬怯み、応えた。
「十九にございますが」
 と、秀康が声高に笑い声を立てた。
「十九、その若さで尼となりて亭主の菩提を葬うて一生を終えるとな」
「はい、貞女は二夫に見(まみ)えずともいにしえより申しますれば」
 応えつつ、帰蝶は唇を噛みしめた。そう、秀継の生命が終わった時、帰蝶の女としての人生も終わった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ