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華のしずく~あなた色に染められて~

第23章 【夕桜~華のしずく~】其の弐~夕桜~

「されば、帰蝶殿」
 秀康が帰蝶をひたと見つめてくる。冷たい眼は、秀継のような優しげな光や温もりは微塵もない。
「俺はまどろっこしい物言いは性に合わぬ。この際ゆえ、直截に言うが、そなたに俺の妻になって貰いたい」
「―」
 その刹那、帰蝶は刻(とき)が止まったかのような錯覚を覚えた。

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