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華のしずく~あなた色に染められて~

第22章 【夕桜~華のしずく~】其の壱~飛花~

 帰蝶が小首を傾げる。今年四十過ぎになる一之進の髪にはやや白いものが混じり始めている。その温厚な顔が曇った。
「卯月の六日早暁、京都の本仁寺において右府様、安良井道綱の謀反にて、あえなきご最期を遂げられ、また、宰相(秀継、従三位参議の官位にあったことから、この呼び方で呼ばれた)様はご自分の傅役がお父君に刃を向けられたことの責めを負われて、おん自らご切腹にて」

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