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華のしずく~あなた色に染められて~

第22章 【夕桜~華のしずく~】其の壱~飛花~

 早馬が着いてはや一刻以上にもなる。いくら何でもその詳細について何も奥の女たちに知らされないのは、おかしい。帰蝶が侍女の茜に命じたその時、にわかに部屋の外が騒がしくなった。
 障子越しの廊下から控えめな声が響く。
「奥方様、失礼つかまつりまする」
 ほどなく障子が開き、外山一之進(とやまいちのしん)が姿を見せた。

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