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華のしずく~あなた色に染められて~

第22章 【夕桜~華のしずく~】其の壱~飛花~

 そして、悲報はその五日後、青龍の国にもたらされたのである。
 京よりの早馬が着いたその日、帰蝶は朝からしきりに胸騒ぎがしてならなかった。早朝より降り始めた雨は午後になって霙混じりとなり、帰蝶の不安を余計にかき立てた。丁度、その最中、青龍の城に京よりの急使が到着したとの知らせがもたらされたのだ。
「のう、茜。使者は何と言うて参ったのか、そなた、表に参って聞いてきてはくれぬか」

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