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華のしずく~あなた色に染められて~

第22章 【夕桜~華のしずく~】其の壱~飛花~

「人間五十年、下天のうちを比ぶれば、夢まぼろしの如くなり。ひとたび生を得て成せぬ者はあるべきか~」
 そこからはるかに離れた場所では、時治が立ち塞がり、懸命に防ぎ矢を射かけて、敵の侵入を阻んでいた。
「藍丸、再びあの世であいまみえようぞ」
 秀吉は小姓時代のように時治を呼び、静かに微笑んだ。
 秀吉のその呼び声は、その時、確かに時治の耳にも届いた。

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