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華のしずく~あなた色に染められて~

第22章 【夕桜~華のしずく~】其の壱~飛花~

 華麗に舞っていた秀吉の動きがふいにピタリと止まる。不敵な笑みをその面輪に刻み、
秀吉は床の間に飾っていた長刀をおもむろに取り上げた。羽柴氏の当主にのみ代々受け継がれる、家宝青龍刀である。柄の部分に龍が彫り込んであり、その蒼い眼には玉(ぎょく)がはめ込まれている。南蛮人との混血である秀吉の眼は色素が薄く、時に蒼色にも見える。普段から左は黒皮の眼帯をかけて隠れているが、今、その右眼が蒼く光っていた。

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