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華のしずく~あなた色に染められて~

第2章 二

「ああ、わしも叔父上はいつまでも叔父上だと思うておる」
 信成が頷き、珠々の髪に頬を寄せた。信成の膝の上で珠々は初めて彼に身を心からゆだねた。信成の鼓動が彼の腕に抱かれている珠々の耳にも伝わってくる。生命を刻む確かな音は、珠々を言いようのない心情にさせた。
 愛しいというのでもない、さりとて、嫌悪や憎しみという負の感情でもない。たとえるなら、家族に対するような親愛に限りなく近い感情であった。

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