テキストサイズ

華のしずく~あなた色に染められて~

第2章 二

―もののふと生まれて、およそ一国の主ならんと欲する者のおらざるかな。
 その時、信成の背後の襖が開き、数人の侍が斬りかかってきた。言わずと知れた時房の家来どもであった。が、やがて、いずこからともなく現れた信成の近習たちにすぐにすべて切り伏せられた。
今日のおなりの供の中には、時房の謀反を知らせた者も含まれていた。その者が自ら願い出て、今日の供回りに加わったのである。その者は、その理由を時房には、信成を油断させるためだと説明しておいたと語った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ