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華のしずく~あなた色に染められて~

第16章 【夢のなか~華のしずく~】 光の祈り人

 教会といっても、すべては日本風の建物である。窓も障子戸であったが、今、雲間から差す細い陽差しが障子戸から真っ直ぐに差し込み、堂内の木の床に当たっていた。その陽差しの作る光の輪の中に、千都が座っている。光の中で一心に祈り続ける少女の姿は、どこか幻想的ですらあった。
「千都―」
 秀吉は思わずその名を呼んでいた。微かな呟きにも似た声であったけれど、聞こえたのか、少女が振り向いた。

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