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華のしずく~あなた色に染められて~

第4章 【華のしずく】~試練~

 信成が珠々を真っ直ぐに見つめた。
「珠々、そなたに生きよと申すのは、恐らく共に死んでくれと言うより酷いことであろう。しかし、わしは敢えて言う。どうか、最後まで生きて―生き抜いて欲しい」
「殿、私は殿のお側にいとうございます。一人で生きてゆくのは嫌でございます」
 珠々が泣きながら、首を振った。
「珠々、頼むゆえ、聞き分けてくれ。この世では添い遂げることは叶わなんだが、来世で再び生まれ変わってめぐり逢おうぞ」
「殿ッ!!」

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