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華のしずく~あなた色に染められて~

第28章 【剣(KEN)~華のしずく~】 運命の邂逅

「帰ったぞ」
 龍伍が大声で呼ばわると、十人はいようかという子どもたちが一斉に駆け寄ってきた。
「お帰り、親分」
 皆、龍伍や浅太と同じく親のいない子たちばかりだ。その中には棄てられた子だけではなく、侍に理不尽に親を殺された子や、情けもない借金の取り立てで親が首を攣った子もいた。そんな孤児たちを龍伍は引き取って育てていた。ゆえに、龍伍や浅太がいかさま博打で稼いだ金は自分たちのためというよりは、これらの子どもたちの食い扶持になるのである。

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