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華のしずく~あなた色に染められて~

第28章 【剣(KEN)~華のしずく~】 運命の邂逅

「あの剣は持ち主の心の持ちよう次第で変わる。聖なる剣でもあり、時に魔剣ともなる摩可不思議な剣じゃ。闇に心喰われし者、邪悪なるものに心を支配されし者が持つ時、その身を滅ぼさんとす、怖ろしき摩剣。そのことを伝えようと思っていたに、心急(せ)くままに行きおって、愚かな若者よ」
 老婆の独り言はか細く、言った当人しか聞こえていない。その不吉な、謎めいた予言は空しく消え果てた。老婆は言い終えると、また眼を閉じた。辻占の老婆は今日も何事もなかったかのように、その場所に座っている―。

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