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華のしずく~あなた色に染められて~

第27章 【月華-月姫(TSUKIHI)-~華のしずく~】幻の蝶

―毒にござります。
 老いた医師は、千手丸の枕辺に侍る月姫に小声で耳打ちした。
「毒!?」
 月姫は色を失った。刹那、定子の、あの美しい雛人形のような冷たい貌(かお)が浮かんだ。が、医師が続けて告げた言葉は月姫に更なる衝撃を与えた。
「それも一日のみではなく、毎日少量ずつ、巧みに若君の御膳に毒を仕込んでいたものと思われますな」

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