テキストサイズ

華のしずく~あなた色に染められて~

第25章 【花屑(はなくず)~華のしずく~】

「お母様?」
 幼い声にふと我に返れば、二人の娘が寧子の膝に取りすがり、見上げていた。寧子はわけもない不安を感じて、二人の娘たちを腕に抱きしめた。
 その時、一陣の強い風が吹き抜け、庭の桜の花びらが一斉に舞い上がった。寧子はなす術もなく、その流され花びらを眼で追っていた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ