テキストサイズ

華のしずく~あなた色に染められて~

第25章 【花屑(はなくず)~華のしずく~】

「秀継殿!」
 秀継が振り返り、微笑んだ。
 寧子は、その笑顔に胸を突かれた。いつもの彼らしい穏やかな笑みであるはずなのに、何故か、秀継のそのときの笑顔は淋しげに見えた。
「何か?」
 問うような眼差しの弟に、寧子はゆっくりと首を振って、微笑み返した。
 秀継が再度頭を下げ、今度こそ歩み去っていった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ