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華のしずく~あなた色に染められて~

第25章 【花屑(はなくず)~華のしずく~】

 寧子は秀康の眼に宿る暗い光が子どもの時分から気になっていた。大人から愛される秀継と、眉をひそめられる秀康。秀康の眼の光には不穏さが潜んでいるような気がしてならなかった。
 もっとも、それは寧子の全く根拠のないものにすぎなかったけれど。今、秀継は秀吉の世継ぎとして青龍にあり、秀康は遠く離れた三河にいる。やはり、寧子の不安は気のせいに過ぎないだろう。

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